なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

「いろんな話をしてきたね 二人」

最近はあんまり歌詞を記事のタイトルにしないようにしてたけど、カネコアヤノの『燦々 ひとりでに』『祝祭 ひとりでに』配信がうれしかったので。アルバム丸ごと弾き語りで再録音してリリースするのはファンにとってありがたすぎる。

私は『祝祭』に入っている「エメラルド」の「クローゼットの」でよく涙ぐんでしまう。好きな歌詞と声の相乗効果というよりは、本当に何気ない歌詞だけど、声の裏返り方で反射的に泣く。珍しいツボの入り方。それがひとりでにバージョンだとさらにかすれた、ゆらぐ感じが強くてよかった。

kanekoayano.net

今日は実際にいろんな話がある。最近見た映画の感想をざっと書いておく。

・『彼が愛したケーキ職人』


映画『彼が愛したケーキ職人』予告編

ケーキ職人トーマスは、ある日恋人が事故で亡くなったことを知る。恋人オーレンは仕事でドイツとイスラエルを行き来するユダヤ人で、イスラエルに妻子がいた。トーマスはドイツからイスラエルに旅立ち、恋人の妻アナトのカフェで働き始める。やがてアナトと恋仲(?)になるが、遺品からオーレンとの不倫関係が発覚し…。

全体的にとっても好きな雰囲気だったけど、結末はもう少しはっきりさせてほしかったな〜。謎めいててもいいけど結末の解釈は観客にゆだねないでほしい派なので。

ただ、登場人物が皆多くは語らない感じは、アキ・カウリスマキ監督の映画みたいですごく好みだったし、「こういう心情だったのかな」って想像する楽しみがあった。トーマスは、亡くなったオーレンの人生を辿りたかったのかなとかね。ともかく不倫関係での痴話喧嘩が延々繰り広げられるような映画じゃなくて本当によかった。アナトがトーマスに直接怒りをぶつけて、数か月後に和解するような展開だったらもっと好きだったかな。でもこうして感想を書いているうちに、「この映画、あとからもっと好きになりそう」とも思った。アナトを演じているサラ・アドラーの見た目とか声、雰囲気もツボだったな。

・『なんだかおかしな物語』


It's Kind of a Funny Story - Official Trailer

うつ病の男子高校生が、5日間の精神病院での入院生活を経て、ちょっと前向きになる話。ストーリー自体はなんら意外性はないし、主人公以外のキャラがいまいち印象薄いような気もするし。そもそも最近10代を主人公にした映画にのれないような…これが年をとったということか……と言いながら、意外と好きな映画。

たぶん、演出が好みなんだと思う。あと、優しすぎず冷たすぎずな感じも。最後に主人公が「なんだ、これで終わりか、高校生が悩みを解決する話かと思った?違う。解決はしてない」ってメタ的な語りをするのも好きだった。ちょうどそのシーンの直前まで、「なんだ、これで終わりか」って思っていたし。あとは、主人公の絵から回想シーンへの移り方も映像としてきれいだった。主人公の5歳のときの回想シーンで、高校生の顔した主人公が「モーツァルトは5歳で作曲してた。僕はだめだ、負け組だ」みたいに嘆くシーンも好きだった。ウディ・アレンの映画で似たような演出あったような。

それにしてもエマ・ロバーツイヴァンカ・トランプに似ている。

・『ハッピー・アニバーサリー』


Happy Anniversary | Official Trailer [HD] | Netflix

付き合って3年目の記念日に、「このままこの人と付き合って結婚していいのかな?」という不安が爆発した彼女と、慌てる彼氏。破局の危機に陥るも、喧嘩やらすれ違いやら愛情の再確認などがあり、無事よりを戻しました、という話。身も蓋もない感想だけど、78分なのがいい。下ネタやらはちゃめちゃなコメディ展開がぽんぽんテンポよく繰り出されて笑える。商談相手のモデルの女性が結構好き。

ただ、ヒロインのお母さんの「私の間違いはパパと別れなかったこと。でも、結婚は間違いじゃなかった。あなたが生まれたから」みたいな台詞は好きではない。そういう結婚観って少しもやもやするのはなんでだろうな。私が夢見がちなのだろうか。