なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』感想

映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』見た。ネタバレあります。明るい気持ちになれる作品。


視力5%の青年はどう研修をくぐりぬけるのか? 映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』本編映像

子供の頃からホテルマンを夢見ていたサリヤは、目の病気にかかり、視力の95%を失う。それでもサリヤは夢を諦めず、障害を隠し、ミュンヘンの高級ホテルの研修生になる。入ってまもなく同期のマックスや、厨房で働くハミードたちに目が見えないことが発覚するも、彼らは上司にバレないようにサリヤをサポートする。とくにマックスはサリヤの親友になり、目が見えないサリヤの自主練に夜遅くまで付き合う。本人の努力と周りのサポートで、研修はそこそこ順調。ホテルに食材を卸している農家のラウラとデートを重ね、ラウラの息子オスカーとも仲良くなる。
が、そんななか、サリヤの父親が不倫相手と一緒に故郷のスリランカに逃げてしまう。母親は専業主婦で、これから仕事を見つけなければならない。サリヤは家族のために、母親には秘密でバイトを始める。ホテルマンの研修、バイト、ラウラとのデート(オスカー君の子守)をこなすためドラッグまで使って体を酷使する日々。さらに、ラウラに目が見えないとばれ、「目が見えないのを隠して子守するなんて!」と激怒されて踏んだり蹴ったり。心身ともに限界のサリヤは、ついにホテルで大失態を犯し、上司に追い出されてしまう。
ある日、サリヤはやけ酒した帰りに階段を転げ落ちて入院。ホテルマンを諦め他の仕事をしようとするサリヤを、マックスはダウンヒル(自転車やマウンテンバイクで坂を駆け下りるスポーツ)に誘い出す。時々転倒しながらもやり遂げたサリヤは、「ホテルの研修修了試験を受ける」と決意。懸命な努力が実って見事合格。厳しかった上司から才能を認められ、レストランでの勤務に誘われるが、マックスと一緒に飲食店をやると断る。
その後、新しい店でせわしなく働くサリヤとマックス。そこにラウラがやってきて、「オスカーが、僕もママに好かれるためなら嘘をつくって言ったの」と告げて仲直り。皆でダンスをしてハッピーエンド……という映画。

なんといっても実話に基づいているというのが驚き。見る前は「先天的に目の見えない人がホテルマンの夢を……?」と思ったけど、そうではなくて途中から見えなくなったらしい。そんな病気があるなんて。エンドロールのときにサリヤのモデルとなった男性と主人公の俳優さんが会っている映像が流れたのは感慨深かった。目の前の文字を読むときに虫眼鏡を使わないといけないほどの視力でも夢を追い続ける姿に感動した。また周りの同僚や上司もいい人たちで、とくに親友のマックスはいい奴にもほどがある。面接時にサリヤに助けられたとはいえ、同期の目の障害を隠して、仕事のサポートをする、危険なスポーツにも誘うってなかなかできないと思う。私なら「サリヤのことがバレたり、彼がケガしたりしたときに責任持てるかな」と考えて避けてしまいそう。それにしても、マックスみたいに「女遊びが激しくて仕事もいい加減だけど情に厚い奴」って、フィクションでしか見たことがない。本当にマックスみたいな人はいるのだろうか。ともあれ、明日も頑張るか〜という気持ちになれる映画だった。
ちなみにこの映画、『白バラの祈り』と監督が同じらしい。ホテルの上司に見たことある人がいるな〜と思ったら、『白バラの祈り』で刑事役を好演していたアレクサンダー・ヘルトという俳優さんだった。