なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『モティの目覚め』感想

ネタバレあり。たぶん初めてのスイス映画。B級コメディなのかな〜と思ったら結構きちんとした作り。

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厳格なユダヤ教徒の家に生まれたモティ。大学生ながら母親から強制されて、何度も「シダッハ」(ユダヤ人同士のお見合い)をする日々。モティはクラスメイトのローラと親しくなるが、「シクサ」(非ユダヤ人の女性)との恋を過保護な母親が認めるはずもない。モティが母親に反抗してお見合い相手との結婚を断ったことから母は激怒。モティは地域のラビ(聖職者)のアドバイスのもと、結婚相手を探しにイスラエルに行かされる。そこで出会ったリベラルで開放的なユダヤ教徒と一晩限りの関係を楽しんで帰国。
帰国後、ローラとの関係がどんどん深まっていく。しかしローラを両親に紹介したところ、彼女が「シクサ」であることを理由に母親から激怒され、家出。ローラの部屋に行くも、「私にはちょっと重すぎる。あなたは悪くないけど……」とフラレてしまう。ホテルで悲しみにくれて飲んだくれた翌朝、父親から説得されてモティは家に戻ることを決める。最後はローラからの電話を無視して(たぶん)、「未来は予測不能だ」とぼやくモティであった……という話。

正直言って、「母親が融通きかなすぎて現実味がない」「父親もモティに同情してるんだったらおろおろするだけじゃなくて何かしろよ」というイライラがどんどんたまってくる内容ではある。でも、ユダヤ教の用語や(相当厳格な場合だろうけど)ユダヤ教徒特有の生活様式が知れて面白かった。それに、モティやお見合い相手のミハル、ローラ、テルアビブの美女のキャラクターが生き生きとしていて好きだった。
とくにモティはずっと母親に過干渉を受けてきたにもかかわらず、ひるまず自己主張していてかっこよかった。見た目は眼鏡でひょろっとした若者なのだけど、中身はしっかりしている感じ。あとローラも「特に理由もないけど主人公に尽くしてくれる都合のいい恋人」ではなくて、そこそこ遊んでいて陽気でチャーミングな女の子だったのが良かった。コメディだけど、ほろ苦い結末なところが結構好き。