なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映像の世紀プレミアム第6集「アジア 自由への戦い」感想

NHKオンデマンドに入ってみた。アマプラやネットフリックスと違って、月末締めだから気をつけなくては。
さっそく映像の世紀プレミアムを見たらこれが面白い。月額990円でお試し期間なしとはさすが公共放送強気だなって感じはするけど、やはりドキュメンタリーの質が高い。山根基世さんのナレーションも相変わらず素敵。
新しい記事のカテゴリを作るか迷ったが、今までどおり大雑把に「映画」カテゴリに入れることにする。

www.nhk-ondemand.jp

まず見事なのは構成。満州国やインドに始まり途中にブルース・リーまで、とチャプターだけ見ると雑多に見えて、時系列で自然な流れになるよう計算されている。「なんで各国の指導者に交じってブルース・リー?」と思ったのだけど、アメリカ生まれ香港育ちで「本当の東洋人の姿を見せたい」と奮闘した人だとわかった。インタビューで中国人かアメリカ人かと聞かれて、「私は人間だ」とさわやかに答える姿がかっこよかった。ボスニア・ヘルツェゴヴィナには国や民族の垣根をこえたスターとして、ブルース・リー銅像が設置されているそう。
それと、インドのガンジーチャンドラ・ボースのインド独立運動の話はかなり興味深かった。非暴力不服従路線で成果が上がらないなか、ボースは師・ガンジーのもとを離れて武力による闘争を展開する。一時はドイツに支援を頼んで見込みがないと判断して諦め、今度は日本と協力して「インド国民軍」をインパール作戦に派遣し……。日本が劣勢になっても「ここは不退転の決意で臨まなければ、イギリスに独立の意思が示せない」と協力を続ける。一見すると「よりによって日本やドイツと」と思うけれど、当時はイギリスの敵国を頼るほかなかったのかもしれない。
ガンジーとボースが互いの意見の相違についてやりとりした手紙の内容も、当時の状況を物語っている。手紙のやりとりやチャップリンとの会話を聞くかぎりでは、ガンジーは頑固であると同時に冷静で達観した人物という印象。現代の、遠く離れた私から見れば素晴らしい指導者に見えるけど、当時は理想主義者と思われてしまったのもわかる。
終戦の月だし、沢山歴史のドキュメンタリーを見る月間にしよう。