なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

NHKスペシャル2本

明日から連休。うだるような暑さの中出勤しなくてよいのがうれしい。帰宅して、さっそくドキュメンタリーを見た。

 

・NHKスペシャル 「かくて“自由”は死せり~ある新聞と戦争への道~」 

www.nhk-ondemand.jp

この映像は有料会員にならなくても見られるらしい。『日本新聞』という国粋主義系の新聞を軸に、1920年代後半〜1930年代に日本がどのように軍国主義に傾倒していったかを追った骨太ドキュメンタリー。『日本新聞』を地域に広めていった人物と岸信介が親しくしていた事実を紹介したり、令和改元の式典で日本国旗を振る人たちの映像を流したりしてメッセージ性が強い。

それと、議会で統帥権干犯問題天皇機関説批判を取り上げた人たちが全て計算ずくで議会制民主主義打倒を目指したわけではなく、目下の政局を有利に進めようとしての行動だったというのがまた。歴史の歯車が大きく動く瞬間に、当事者が気づくとは限らない。

長野県の下伊那地方で自由主義的な教育を行っていた小林八十吉氏が昭和恐慌(1930年)ごろに政党政治に失望し、国粋主義に心酔していくさまには驚いた。『日本新聞』関係者の話だけなら「まあとんでも極右の人はいるよね」という感じなのだが、かなり自由主義的な思想を持った人が転向して極右になっていく過程が日記に書かれていて。八十吉氏の息子さんが「どうしてこうなっちゃったかなあ」と苦い顔をしながらページをめくる。終戦前の1か月の日記が破られた跡があり、息子さんが「自分が悪かったと思ったのかねえ……」と呟くところで終わるのが、印象的だった。

 

・NHKスペシャル 「又吉直樹 第二作への苦闘」

www.nhk-ondemand.jp

又吉さんのエッセイや自由律俳句などはほとんど読んでいるけど、実は小説は一つも読んでいない。このドキュメンタリーで、多忙な中『劇場』を書くのに苦心している又吉さんを見ると読まねば……と思うのだけれど、重たそうでなかなか手が出ない。「わかるやつだけわかればええねん、とは僕は思わないので」という言葉は又吉さんの作家としてのポリシーを端的に表していると感じた。何かに夢中になって努力している人を見るのは、まぶしい。