なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『アフリカン・ドクター』感想

ネットフリックスで『アフリカン・ドクター』を見た。ネタバレあり。


The African Doctor / Bienvenue à Marly-Gomont (2016) - Trailer (English Subs)

医師セヨロ・ザントコは町長に頼まれ、医師のいないフランスの田舎町で開業することに。しかし町には黒人が一人もいなかったため、移住してきたザントコ一家は好奇の目にさらされる。「黒人の医者なんているわけない」と言われ、インフルエンザが流行しても町民は隣町の病院に行く始末。ある日ザントコが町に住む女性の出産を助けたことで、町民の態度は変わり始め、病院も軌道に乗る。町長選の政争に巻き込まれ、ザントコは一時逮捕されるも、現町長が再選され(多分)事態は収束。ザントコは無事フランス国籍を獲得、病院では奥さんが秘書として勤め、子供たちも学校になじんでめでたしめでたしという話。実話に基づいた作品で、セヨロのお子さんカミニが脚本に関わっているそう。

いい映画だった。盛り上がりがある!というわけではないけど、あたたかい。ザントコ一家がかなり露骨に差別を受けるシーンは辛かったけど、後半の町民と心を通わせていくところが良かった。奥さんのアン役の女優さんが魅力的で、オレンジの服もよく似合っていた。印象的だったのは、奥さんが差別的な扱いに対して「バカにしないでよ!」とすぐ怒っていたのに対して、子供たちは差別にただとまどっている様子だったこと。アフリカのザイールで育った幼い子供たちは、差別語を言われても、なんとなくのけものにされていて悲しい気持ちはあるけど、どうしていいかわからないという感じ。黒人の多い地域から白人ばかりの町に移った環境の変化を、小学生ぐらいの年齢で受け止めるのは大変だっただろうなあ。娘のシヴィがサッカーで活躍したり、息子のカミニが劇でお医者さん役を演じたりするシーンにはしみじみ感動した。