なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

見た目の意味

韓国映画「ビューティーインサイド」を見た。ネタバレあります。

家具職人のウジンは、18歳のときから、寝て起きるたびに容姿が全くの別人になってしまう。老若男女問わず、時には外国人になることも。事情を知る親友に販売や営業を担当してもらい、オートクチュールの家具を売って生活している。当然一夜限りの恋愛しかできないけど、たまにイケメンになった日は親友とナンパに繰り出す。
そんな生活を送っていたとき、家具店に勤めていたイスに一目惚れし、毎日通いつめ、ある日デートにこぎつける。イケメン(パク・ソジュン)になった日に「よっしゃ今日だ!!」という勢いで店に行くのも、数日徹夜を続けるのもけなげ。結局寝てしまい翌日のデートをすっぽかしたり、事情を打ち明けたらイスがショックを受けたりするのだけど、二人は付き合い始める。イスは毎日違う姿のウジンとの交際を楽しむ一方で、だんだんと心労がつのってウジンとすれ違い始め……という話。
心理描写が丁寧で、映像も美しく落ち着いた雰囲気でとてもよかった。非現実的な設定だけど引き込まれるし、「自分がウジン(orイス)だったらどうするだろう?」と思わせられる。ウジンだったら当然大変だろうけど、美形になった日はうきうきするかも。イスの立場でも、そういう新鮮さはありそう。ただ、作品の後半でうまく描かれているように、結婚するとかずっと一緒に暮らすとなると、お互い辛いよなー。
ウジンは11年毎日姿が変わる状態で暮らしてきて、多少なりともそれに慣れていて、やっとつかんだ恋に浮かれてプロポーズする。でもイスは、毎日違う姿の彼をウジンだと自分に言い聞かせて、「いつも違う男と遊んでる」って噂され、将来について悩む日々に疲れている。そのすれ違いがリアルだった。どっちの気持ちもわかるような気がして、途中から涙が止まらなかった。ウジンのお母さんもいい雰囲気の女優さんで、一言一言に重みがあった。ラストはほっとした。実際のところ、容姿は自分のアイデンティティーのどのくらいを占めているんだろう。もし明日別人の容姿になっていたら、私はちゃんと職場に連絡するだろうか。しないでぱーっと遊んでしまおうと思いそうだ。

それにしても、この映画の序盤に親友から「今日は女にモテそうな顔だな。ナンパ行こうぜ」って誘われたときのウジンの俳優さん、ちょっとド・ギョンスに似ていた。誰なんだろう。