なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『2人のローマ教皇』感想

ネットフリックスで『2人のローマ教皇』を見た。ネタバレあります。面白かったな。


『2人のローマ教皇』予告編 - Netflix

教皇ベネディクト16世の即位から、現教皇フランシスコの即位までを描いた作品。保守派のベネディクト16世と改革派のフランシスコが、時には激しく議論を交わしながらしだいにお互いへの理解を深めていくというお話。史実に基づくフィクション。どこまで史実なのか気になる。大方フィクションだろう。
コメディーだけど、テーマがテーマなのでかなり深遠な内容で興味深かった。ローマ教皇に関心がある人なら楽しめるだろうし、そうでない人にもわかりやすい。お互いに告解しあうシーンが印象に残った。聖職者による性的虐待問題やベネディクト16世のスキャンダル、フランシスコがアルゼンチンの独裁政権時代(1970年代)に取った対応をめぐる批判なども描かれる。ドイツ人で、ヒトラー・ユーゲントへの加入経験もあるベネディクト16世はしばしば市民に「ナチ野郎」と非難されている。
基本的にはフランシスコ寄りの内容だけれど、けして礼賛だけの映画ではない。もっとも、2人の心の交流がメインだから、上記のような問題にもっと切り込んだほうがいい、ライトすぎるという批判はありうると思う。日本だと概ね好意的に抵抗感なく受け取られるだろうけど、バチカン教皇2人の祖国の人たちの反応なんかも気になるところ。
アルゼンチンの軍事政権から仲間を守りきれなかったと悔いるホルヘ・ベルゴリオに、ベネディクト16世が「人間は皆慢心している。人間は神ではない」「人間は皆罪人だ」と言う。あのアンソニー・ホプキンスの迫力、フランシスコ役のジョナサン・プライスの、静かな情熱を持った瞳。2人ともはまり役だったな〜