最近見た映画の感想。ドイツ絡みのものばかり。ネタバレあり。(『はじめてのおもてなし』青年の名前間違ってたので訂正。ディアロごめん!)
・『はじめてのおもてなし』
難民の青年がうちにやって来た!映画『はじめてのおもてなし』予告編
一般家庭が難民を一時的に受け入れるなんて活動があるんだな〜と他人事のように感心しながら見ていた。日本にも外国人はいっぱい住んでいて、社会の中でどう共生するかって問題はあるのにね。
プライドが高くて見栄っ張りな医者のパパ&優しいけど少し向こう見ずで博愛主義的なママがこんな人いそう〜って感じではまっていて良かった。
あとはところどころに難民の現状やドイツ社会を皮肉るジョークがあって好きだった。とくに、ハルトマンパパが有能な研修医(見た目からして中東系?)に当たり散らして言い合いをするシーン。病院の廊下で「なんで僕のことが気に入らないんですか。肌の色ですか?人種差別だ」「私を差別主義者呼ばわりか。誤解するな。難民を家に受け入れてる」「難民を一人受け入れたらあとはクズ扱いか」という口論をして、ハルトマンはうまく言い返せず立ち去る。見ていた人から研修医に拍手が起こる。ハルトマンパパは家では難民受け入れに反対していたけど、「難民を受け入れている良識的な市民」という立場はけっこう心地よく思っている。たぶん。最初の方で、受け入れ候補の人たちを家で面接して、素行が悪そうな人や大家族が来たあと、好青年なディアロが来て一安心というシーンがある。結局、施設にいる難民は選ばれる立場で、受け入れもドイツ人の善意に頼るしかないという現実があるんだろうなあという感じ。でも、「良識的な市民という体面を保ちたい」とか「何かしら社会の役に立って充足感を得たい」という気持ちから生じる慈善活動を偽善だと否定したくはない。完全に純粋な善意なんてありえないし、偽善だと嘲笑するより、迷いながらも行動を起こしているほうが断然良いと思うので。もちろん、「やってあげてるんだから施しを受けてるほうは文句言うな」というのは論外だけど。
そういうわけで、深刻なテーマを扱いつつ、後味さわやかな映画でけっこう好きだった。
・『ジョジョ・ラビット』
タイカ・ワイティティ監督がヒトラーに!映画『ジョジョ・ラビット』日本版予告編
「多分完成度は高くて良い話だろうけど、乗れなさそう」と予想していたけどまさにそんな感じ。悪役をナチスにする必然性があるナチス映画のほうが好きだし、ドイツ語のほうがやっぱり雰囲気が出るし…という完全に好みの問題です。心のアドルフがたばこ持ってたり(ヒトラーは嫌煙家のはず)、終戦間近とはいえ市街地に処刑された一般市民をつるしてるかな?と気になったりして。でも監督が伝えたいのはもっと普遍的なこと、自由や平和を愛すること、あらゆる人間を尊重することだと思うので、歴史映画というよりヒューマンドラマとして見るものなんだろう。とはいえ、靴紐の伏線とかキャプテンKの死に方はちょっと泣かせにかかってる感があってくどかったかな…。
なんだかんだ文句を言いつつ、ユダヤ人迫害・虐殺とともに同性愛者の迫害についても暗に触れているのは新鮮だった。あとはスカーレット・ヨハンソン演じるママもかっこよかった。
・『50年後のボクたちは』
かつて14歳だったすべての大人たちへ『50年後のボクたちは』予告編
『ソウル・キッチン』のファティ・アキン監督作品。アホだけど憎めない男の出てくる作品が多い気がする。なんとなく見たんだけど、意外と面白かった。マイクのことを「お前ゲイなんだろ!」とからかっていたチックが実はゲイだと告白するシーンとか、タチアナの誕生会を機にマイクとチックが仲良くなるシーンとか好き。それにしても途中で出てくるイザの瞳が本当にきれいだった。