なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『四月の永い夢』感想

映画『四月の永い夢』を見た。途中は少し退屈だったけど、終わり方はわりと好き。ネタバレあり。


【公式】『四月の永い夢』大ヒット上映中!/予告編

定食屋でアルバイトをしている初海。彼女はもともと音楽教師をしていたが、彼氏の自殺をきっかけに退職。彼氏が亡くなってから3年ほど経っているものの、まだ過去のことを忘れられずにいる。ある日、彼氏の母親から、彼氏が生前に書いていた手紙が送られてくる。初海はなかなかそれを読むことができない。そんな折、初海が働いていた定食屋が店じまいすることになる。就職活動のためにもらった休みの間に、DVに遭っている元教え子を助けたり、定食屋の常連の志熊さんとデートしたりする。志熊さんから告白されて断ると、昔の彼氏のことが気になるのかと聞かれ、初海はうまく答えられない。そのまま志熊さんを置いて一人で帰ってしまう。

そして彼氏の実家に泊まった日、初海は彼氏の母親にある秘密を打ち明ける。初海は彼氏が自殺する数ヶ月前に、すでに彼氏と別れていたと。母親は、息子と一緒に時間を過ごしてくれて感謝していると言って励ましてくれる。自宅に帰った初海は、「僕のことは忘れてほしい」と書かれた彼の手紙に、「忘れてほしいと言いながら、忘れてほしくないのが透けて見えるようなところが嫌いでした。でも、あなたからもらった手紙は全部宝物です」といった返事を書く。

最後に初海が飲食店でラジオを聴いていると、「好きな女性に告白したが、玉砕してしまった。彼女を傷つけるようなことを言って反省している。彼女がお気に入りのラジオ番組なので、聴いているかと思い投稿した」という志熊さんらしき人のメッセージが流れる。すぐに気づいて、満面の笑顔を浮かべる初海だった……という話。

つらい過去を持つ主人公が、どんなふうに過去に向き合うか、そして前を向いていくかという話だったと思う。「自殺した彼氏と実は数か月前に別れていた」というのは、客観的に見ると大した秘密ではないのだけど、本人や彼氏の家族にとっては重大なんだろうなとしみじみ思った。初海は、ずっと自分のせいなのだろうかと気にかかっていたんだろう。志熊さんと初海の会話のぎこちなさもリアリティーがあってよかった。欲を言えば、もう少し印象深いセリフや演出があればもっとよかった……少し物足りなかった。