なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

高野悦子『二十歳の原点』

今週末は沢山映画見て本も読んでやると意気込んでいたけど、高野悦子二十歳の原点』など暗めの作品に触れてくたびれ、今日は何もせず過ごした。

高野悦子さんは学生運動のさなか、20歳で自殺した立命館大学の学生。私が読んだ1971年の単行本には、最後に父親の高野三郎さんの手記が載っていた。悦子さんは学生運動や恋愛、自分自身の生き方についての悩みを日記に書き続け、結局は鉄道自殺をしてしまう。日記は自殺の2日前まで書かれていたものだから、彼女が死に向かっていく心情がよく読み取れる。
悦子さんのほうが年齢的には近いのだけど、なんとなく親のような目線で読んでしまった。大学生のときなら完全に悦子さん側の気持ちで読んだんだろうけど、私も年を取ったなあとつくづく実感した。
最後の父・三郎さんの手記で「学生運動も今は跡形もない。娘が思い詰めず、もう数ヶ月持ちこたえてくれていたら」といった内容が書かれていて、いたましかった。周りの人から見たら「そんなに深刻に考えなくても」「死ぬぐらいなら相談してくれたら」と思う状況でも、自殺する人はいる。その一方で自殺一歩手前でも何かのきっかけで救われる人もいて、きっと紙一重なんだろう。