なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

そうか、そうか、つまり君はそんな奴なんだな

不機嫌になったときや、投げやりな気持ちになったときに「幸せではないが、もういい」という言葉をよく思い出す。
オーストリアの作家ペーター・ハントケの著書のタイトル。
何年も前に読んだけれど、内容はほとんど忘れてしまった。
Wikiに載っている、母親の自殺について書いたという説明を見ても、詳しい内容が思い出せない。
それもそのはずで、大学のレポートのために読んだから、猛スピードでページをめくり、ただWordの2000字を埋めた記憶のほうが大きい。
Wikiに載っているハントケ氏の写真は、そんな失礼な読者を即座に見放しそうな厳格な顔をしている。
それでも、私にとって「幸せではないが、もういい」というタイトルの衝撃は大きかった。
静かで、絶対的な絶望を感じた。
原題は、Wunschloses Unglück。直訳なら「これ以上望むところのない不幸」、「満ち足りた不幸」。
外国映画の邦題はたびたび論争の的になるけど、これはとても適切な邦題だと思う。
英題はA Sorrow Beyond Dreamsらしい。うーん。「想像を超える悲しみ」「想像を絶する悲しみ」かな。
母の自殺に対する悲痛な気持ちは伝わってくるけど、その先の諦念というか、絶望、脱力感は感じられない。


…内容をほとんど忘れた私が言うことでもないか。
小説、最近とんと読んでいないから読みたい。