イ・ラン『悲しくてかっこいい人』(2018年)をもうすぐ読み終わる。
私は彼女をよく知らなかったのだけれど、1986年生まれで、シンガーソングライターで、映像作家で、漫画家で、エッセイストでもある(巻末紹介より)。そんな多才なイさんのエッセイ。
- 作者: イ・ラン,呉永雅
- 出版社/メーカー: リトル・モア
- 発売日: 2018/11/16
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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好きなエッセイにも色々ある。
文体が好きなもの。川上未映子さんのエッセイがそうだ。笑えて共感するもの。西加奈子さんのエッセイ。
そして一番貴重なのが、自分と気が合う、似てると思えるもの。又吉さんのエッセイがそうだ。そして、イさんの『悲しくてかっこいい人』は、まさにそんなエッセイ。
気が合う、似てるなんていうのはとても恣意的だ。嫌いな人がいくら自分と似ていたって、その人との相違点を探して「自分はあんなやつとは違う」と思いたがる。自分が好感を抱いていて、半ば憧れている人に対しては、共通点を見いだして「気が合う」「似てる」と思いたい。
イ・ランさんと私の違うところなど、探せばたくさんある。それでもイさんの本を読んでいて、「私の知っている感情を、ぴったり言い表してくれた」という瞬間がとても多かった。その瞬間だけ、様々な違いはどこかに吹き飛び、著者と自分がシンクロするような感覚がある。
きっと何度も読み返すんだろうなと思う。