なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『心と体と』感想

映画『心と体と』、ずっと気になってて見たら最高だった〜!期待しすぎてがっかりしたくないと思って見てなかった。もっと早く見ればよかった。ネタバレあり。

同じ夢を見た男女が…!映画『心と体と』予告編
あえてつまらなそうに紹介すると、金髪美女とダンディーな上司が連日同じ夢を見ていると知ったことをきっかけに恋をして、最後は無事結ばれセックスして朝ごはんを食べましたという話。筋書きだけ書けば普通のラブストーリーなんだけど、主演の二人の雰囲気や台詞、映像どれをとても好みだった。
マーリアのほうはおそらくアスペルガー症候群、エンドレは片手が不自由。職場で発生した盗難事件の調査の一環で、お互いが全く同じ鹿の夢を見ていると知って距離が縮まる。鹿のシーンが美しいのはもちろん、マーリアが人形を使ってエンドレとの会話をシミュレーションするシーンが好きだった。あとはエンドレが職場のチャラ男に嫉妬したり、マーリアから「携帯持ってないんです(事実)」と言われて「嫌なら嫌と言えばいいのに」とすねたりするのもかわいかった。マーリアにちょっかいをかける男を見て「男はたまにおかしなことを言うんだ」と忠告したエンドレが、「君は僕を怖がらなくていい。すまない、ついおかしなことを言った」って言っちゃうのかわいいよな〜エンドレ……俗っぽい言い方だけど、枯れオジ界の星だと思う。
二人は不器用ですれ違うんだけど、傍から見るとひかれあっているのは明らか。それにしても、エンドレに「うまく行かないと思う。親密にはなれなくてもいい友達でいられる」と一旦拒まれて、即日風呂場で手首切るマーリアの素早さよ。そして全裸で流血したまま電話に出たタイミングで「死ぬほどあなたを愛しています」と言ってくるエンドレ、とても良い。それまでの堅物で丁寧で自信なさげなところから急に感情をあらわにしてくるのはずるいし惚れる。ただし、リストカットのシーンは結構リアルで痛そうなので見るのがつらい。食事している二人の横顔が映っていて、「一緒に夜を過ごそう。……ただ一緒に寝るだけだ」という話をするシーンも、うろ覚えだけどきれいだったな。
二人が肉体的に結ばれた翌日の朝、鹿の夢はもう見なかったというのは予想できるオチではあるけどたまらなくいい。途中、食堂で「とても良かった」「にやり」みたいなやりとりをしてた前日の夢は、たぶん交尾の夢だったんだろう。
好きなシーンが多かったのでもう一回見よう。