なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『はちどり』と『ナチ将校の妻 あるユダヤ人女性55年目の告白』

以下、両方のネタバレあり。


世界各国で50冠以上!韓国映画『はちどり』予告編

映画『はちどり』は、家族の描写がいたたまれないぐらいつらかった。父親がいばっていて家族が我慢している(怒らせると手がつけられないから、あるいは男の人はそういうものだからという感じで)描写って本当に苦手。あと、『はちどり』に出てくる両親は「私が恥をかくから止めろ」って叱り方をするのが不快だったなあ……。私は父親と暮らしたことのある時期がほとんどないけれども、たまに両親がしている喧嘩を見るだけでとても嫌だったので、今でも慣れない。

とはいえ、漢文塾のヨンジ先生が味方になってくれたことで、ウニが前向きになれたのは良かった。ヨンジ先生がかっこよかったので、映画館を途中退室せずに済んだ。 映画自体は素晴らしい部分がたくさんあるので、興味のある方は下記の感想記事をぜひ読んでほしい。

ameblo.jp

『はちどり』の家族描写でうっ……となってしまったのは、実はこの作品のせいだけではなくて。『ナチ将校の妻 あるユダヤ人女性55年目の告白』という本にダメージを受けて、夫婦や結婚、家庭というものに絶望感を抱いたところがあった。

この本はノンフィクションなので、著者の人生や元夫についてあまりあれこれ言うのは気が引けるのだけど。著者と結婚したナチ将校が、どう控えめに言ってもモラハラクソ野郎。著者も「狂人」と表現しているぐらいとにかくとんでもない。

「ナチ政権下、身分を偽って暮らしていたユダヤ人女性が、ナチ将校と恋愛をする。ナチ将校は自分がユダヤ人だと知ってもひるまず結婚し、秘密を共有した」というあらすじだけだったら、「きっとナチではあったけど人間的な良心はあったか改心したんだろうな……仮に反ユダヤ主義者だったとしても、愛妻家なんだろうな」と予想するよね。そう予想した私をどん底まで落ち込ませるような、現実とはこんなにつらいものかと思わせるノンフィクション。

しかも著者の書きぶりが結構容赦ないので、なおのこと……。深刻なユダヤ人迫害の話も出てくるのに、怖い夫の話のほうがつらいのは、私にとって後者のほうがリアリティーを感じられるからなんだろうなと気づいた。日本に住む日本人だから、やはり呑気なのかなあと反省するところもあった。それにしてもこの本のヴェルナーは怖い。