なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

受け入れる

Netflixで「イヴリンと歩いた道」と「トール・ガール」を見た。どちらもNetflixオリジナル。ネタバレあり

「イヴリンと歩いた道」は、13年前の弟の自殺から立ち直れずにいる映画監督と、その家族のドキュメンタリー。時にはイヴリンの友達も連れて、イヴリンと過ごした場所をめぐる。家族を精神病の果ての自殺で失った悲しみは計り知れない。たしかイヴリンの友人の言葉だったと思うけど、「終止符なんてない。抱えて生きていけるようになるだけ」という言葉が印象的だった。声をかけてきた通りすがりの人たちが、「自分の家族(仲間)も自殺した。つらかった。追悼の旅をするのは素晴らしい」と励ましていて、イヴリンの家族にとって救いになったのではと思う。

「トール・ガール」は、アメリカの王道学園ラブコメ。高身長のせいでからかわれて自信を失った主人公が、恋愛の試練を乗りこえて成長する話。主人公のジョディはスウェーデン人の交換留学生に一目惚れするけど、彼はあっという間にスクールカーストの最上層に登りつめ、学校一人気の女子と付き合い始め…という所から始まる。アメリカのスクールカースト描写っていつもオーバーに見えるけど、本当にこんな感じなんだろうか。

登場人物が皆憎めない。いい意味で、現実の人間のように移り気なところやそれぞれの弱さを持っている。ジョディに振られ続けている幼馴染のダンカースも、ジョディも、一途なようで時々他のところにふらついてみたり、諦めたと思っても諦めきれなかったり。フィクションだと、現実離れした一本気な人物が沢山いて、移り気な人はともすれば「このキャラがこんなことするはずない」と批判されるけど、現実には辻褄が合わないような言動は山ほどある。この映画は皆人間味があった。あとは、性格や容姿が全然似ていなくても助け合う姉妹とか、急にダンカースの株が上がるところとか、リズが良い子すぎる(でもあの乱闘騒ぎの中動画撮り続けてたのか)とか好きだった。

後半の展開が早いしオーバーだしで面食らったけど、「コンプレックスを受け入れて堂々と生きる」というメッセージをストレートに打ち出していて、「は、はい」と思わず頷いてしまうような映画だった。一年通して大体ネガティブだけど、少し元気が出た。