なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

映画『マリッジ・ストーリー』感想

※途中、映画『マリッジ・ストーリー』のネタバレあり。 Filmarksで今までに見た映画を登録していたら、午後になっていた。各映画に☆何点かつけていくときに、あんまり思い出せない作品の多いこと。とても好きな映画とクソだと怒った映画は覚えているけど、その中間が曖昧だ。しかも、昔好き!と思った映画を見直したらそうでもない(または逆のパターン)こともままある。完全な素人の映画鑑賞だし、評価はその時々の自分に左右される。とりあえず☆をつけた約200作を見てみると、☆4が一番人に勧めやすそうなラインナップだった。☆4.5以上は特別な思い入れとか嗜好が反映されている感じ。これからはなるべくこまめに、見た作品を記録しておこう。

昨日ネットフリックスで『マリッジ・ストーリー』を見た。

『マリッジ・ストーリー』予告編 - Netflix

まあまあだった。ストーリーに意外性はなく淡々とした映画なので、もう少し短くても良かったかな。
ストーリーは、女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と舞台監督チャーリー(アダム・ドライバー)夫婦が離婚するまでのあれこれを描いている。最初は話し合って円満に離婚しようとするがうまく行かず、後に引けなくなって、お互いに敏腕?弁護士を雇って裁判を始める。結局は妻にやや有利な形で裁判は終わり、一人息子を二人で育てていくのであった……という話。
途中に出てきた人情派のおじいさん弁護士、味があって良かったけどすぐに外されて残念だった。結局はそのおじいさんの言ったとおり、子供のためだったはずの裁判が勝つための裁判になってしまった。夫婦どちらも人間くさくて憎めないんだけど、子供が振り回されてて可哀想だったな。あと夫が妻と会話不足で自分勝手、監督として成功して浮気、子煩悩だけど空回りがちっていう設定があまりにもありがちかと思う。あと、離婚後に酔っ払ったチャーリーが、劇団の仲間の前で歌うシーンがあるけど、なぜかかっこよく歌い上げてて少し冷めた。

そんな乗れない所はありつつ、好きな所もあった。まず主演の二人が素敵。スカーレット・ヨハンソンは、『それでも恋するバルセロナ』のイメージが強かったけど、年齢を重ねてさらに魅力的になった。LUXのCMよりも、加工しすぎてない自然な姿のほうがいい。あとショートカットもかっこいい。アダム・ドライバーもハリポタのスネイプ先生みたいなルックスで好きだ。
序盤、夫と平然と会話するけど、ドアを閉めて一人になった途端泣いてしまうニコールが良かった。なんでこんなことになったんだろう、という気持ちがあふれるような感じ。
あとはニコールとチャーリーの大喧嘩のシーンも好き。裁判がエスカレートしているから冷静に二人だけで話そうとしたのに、どんどん感情が高ぶって激しい言い合いになる。チャーリーは「子供のことがなければ君なんて死ねばいい」といった暴言を吐くけど、そのあと号泣してしまう。その泣き方がいい。映画全体を通してそうだけど、夫のほうが楽観的で、かなり状況が悪化してからも「二人で話し合えるはず」「円満に別れられるはず」って思っている。それなのにどんどん当てが外れて追い込まれて、「こんなはずじゃない」と思っている感情が喧嘩のときに爆発する。お互いに不満も感謝もうまく伝えられない状態が続いて破局に至ったんだろう。時折長く付き合った相手に対する優しさが垣間見えるけど、それがかえって、一時的な怒りじゃない二人の溝を感じさせる。
最後にニコールの書いた「チャーリーの長所」メモをチャーリーが息子と読んで泣く場面も好き。ニコールもそれを見て涙ぐんでいて。夫婦としては破局したけど、時間の経過も手伝って、子供の親、元夫婦としてはうまくやっていけそうだと想像させるラスト。辛いけど、最後に少しだけ救われる。