なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

やっとのことで

※ドラマ「片思い~秘密の恋心~」のネタバレあり
この間投稿してなかった記事を載せる。中国のドラマを見たのが初めてで、画像検索に手間取ったけどPinterestでそこそこ集まった。はまってるドラマのオフショットを見つけると、胸がきゅっとなるくらいうれしい。

ところで、f(x)ショックがまだ尾を引いている。もうf(x)としての4人の姿が見られないかも…と思うと悲しい。色々な想いがある中で、自分のために、長くいた事務所を離れる決断をしたことは素晴らしいと思う。人生は一度しかないと誰でもわかっているけど、自分の幸せについて真剣に考え、行動するのは難しい。大事な決断をして行動したことで、誰かを傷つけたり悲しませたりする可能性もある。決断が大きいほど、それは避けられないと思う。誰もが幸せになれる選択肢なんてそうそうないから、「自分のために」生きるのは簡単なようで難しい。クリスタルはまだ契約期間が残っているという話を見たけど、今後どうするんだろう。どちらを選ぶにしても、私が彼女を応援するのに変わりはないけど。

自分のために選択する、といったことを考えたのは、f(x)の動向もあるけど、「片思い~秘密の恋心~」というドラマの影響もある。ネットフリックスのオリジナルドラマで、大学での恋模様を描く群像劇。主人公のルオ・ジーは、高校のときからホァイナンという同級生に片思いして(時にはストーカーじみた行為もして)いる。同じ大学に入ってから仲良くなるんだけれど、同級生やら元カノやら家の問題やらで、紆余曲折あり…という話。
ベタだけど、恋愛の中での気持ちの変化や、人とどう向き合うかについて丁寧に描かれていたと思う。登場人物が時には恋愛で自分を見失いそうになりながら、最終的には人生にとって大事な選択を自分自身で決めていて、そこがとても好きだった。
印象的だったのは、主人公のルオ・ジーが、ずっと片思いしていたホァイナンに告白されて、突き放すシーン。彼女は、それまでのホァイナンの行動に不信感や不満を抱いていたことを吐露する。ずっと好きだった人に告白されて舞い上がってもおかしくないところで、ルオ・ジーは怒る。嫌われたくないから、好きだからと自分を押し殺しはしない。そうした「人間としてのプライド」をきちんと自分で守っているところが良いなと思った。
このプライドの話で言えば、脇役のエピソードも良かった。ホァイナンの親友にミンルイという男の子がいる。ミンルイはリーチンという女の子が好きだったけれど、当のリーチンはホァイナンに恋していて、彼を振り向かせるためにミンルイを利用する。結局、ホァイナンがルオ・ジーを好きだと気づいたリーチンはあっさり諦めて、ミンルイに好意を向けるようになる。休日にデートもしてすっかりカップルらしい様子。その間、ミンルイがルオ・ジーに好意を抱いているような描写もあったので、「ルオ・ジーへの好意は友情、もしくは最初は恋心だったけど親友のために譲ったってことでいいのかな」と思っていた。ただでさえストーリーが渋滞していたし、そういう脇役同士でくっつくのって定番だし。あと、二人ともかわいくてお似合いだし…とたかをくくっていたら、見事に裏切られた。
ある日、ミンルイはリーチンを振る。ホァイナンとごたごたしている間に気持ちが変わった、今のリーチンには興味がない、ルオ・ジーが好きだと。リーチンが「待っててほしかった。遊びに誘っても断らなかったのに」と反論しても、「友達になろうと努力したけど無理!恋愛はバスじゃないんだ」とにべもない。私がミンルイだったら「ルオ・ジーもいいけど、元々好きだったリーチンが好きって言ってくれてるし、付き合おう~」って波に乗ってしまう気がする。しかもこんなベタな恋愛ドラマの脇役が、複雑な人間性を持ったキャラクターとして描かれると思っていなくて、申し訳ないけどなめていた…。リーチンは好きなキャラクターだったから残念ではあったけど。自分自身の意志やプライドを大事にして、相手にも誠意を持ってそれを伝える人物が多くて、良かった。
見る人によっては、意固地な登場人物が多いと思うかもしれないけど、人間味のあるキャラクターばかりで愛着がわいて、良いドラマだったと思う。とにもかくにも女性陣が良い。あと、学園の王子的な存在だったホァイナンが、付き合い始めから重めのプレゼントをしたりマニアックなサプライズをしたり、ストーリー全体を通して急に連絡断つ癖があるのも嫌いじゃない。モテる努力なくしてモテていた人のピュアなエキセントリックさが好き。

今日読んだ『眠れぬ夜のための哲学』に、怒ることは憎しみと混同されて忌避されがちだが、真剣に主張するという重要な行為だという話が書いてあった。「片思い~」のドラマも、怒りの重要さを思い出させてくれる。

眠れぬ夜のための哲学

眠れぬ夜のための哲学

明日からは、嫌なこと言われてヘラヘラ愛想笑いしない。と言いながら、明日も嫌なことはおろか普通の会話をしてるのに、ヘラヘラしてそうな気がする。いや、今度こそ。