なんの変哲もない日

この田舎の犬は都会で死ぬかもしらん

里帰り

仕事への愚痴のような内容が多いので、余裕のある人だけ読んでもらえればと思います。

 

久しぶりに実家に帰った。とりあえず一度帰っておきたかった。帰って変わらない様子で過ごせば、「仕事どう?」という連絡が来なくて済む。母の日に何もしていなかったからケーキを買った。仕事を休んでいる話はしていない。

私の職場は残業が当たり前で定時に帰りにくい雰囲気があるとはいえ、それほどブラックではない。残業代は出るし、ノルマはない。周りの先輩や上司は優しい。ゆくゆくは職場で何か嫌なことがあったか聞かれると思うが、言えそうにない。

嫌なことがないというより、「どうしようもない」ことが多かった。

たとえば頻繁に電話がかかってくる。新入りの私は内容も電話相手もわからずとりあえず用件を聞き取る。先輩に質問する。急ぎの仕事ではないと言われる。窓口に人が来て質問をしてくるけれど、まだうまく答えられない。マニュアルを見ればわかることが、どこに書いてあるのか探すのが難しい。早く答えないとと手の空いている人に聞く。対応が終わると、またメールで新しい用件が入っている。去年やったのを参考にしてくれと言われる。わからないときに質問するタイミングが難しい。人手が足りなくて、皆何か忙しそうにしている。色んな仕事や疑問点が頭の中で溜まっていって、頭痛がする。定時を過ぎるとやっと自分の仕事ができるという雰囲気になる。お菓子を食べたり新入りの私を励ましてくれたりする。必死になってあの件は、この件はと聞くと少し笑われる。そんなに急がないで一つずつと言ってもらえる。でも突然、「これは急ぎ」と言われたり「あれはどうなった?」と聞かれることもあるし、まだ重要度がわからなくて困っているのだった。周りに人がいるだけで緊張する私は、定時過ぎになると気疲れして頭が働かなかった。定時までは、わからないことだらけで周りも忙しく作業が止まるときもあった。上司の代わりに手伝いに行って、現場の人の指示通りにすればいいからと言われた用件があった。実際には現場の人は私と面識がなく、とくに指示もされなかった。他の慣れた人に「あれやりました?」と聞かれて慌てて走り回った。なんだこの人、と思われたような気がした。その日はつらかった。でももう少しこちらも具体的に質問すればよかったとも思った。

定時過ぎになると仕事をゆっくり教えてもらえると思い、できるだけ頑張ろうとした。まだ新しいところに来て間もないから時間がかかるのは当たり前、忙しいのは今だけ。パンクしないように、他の人よりは早く帰るようにしていた。本当はマニュアルを読みこんだりやった内容をまとめるために朝早く出てきたいけれど、どうせ残業になると思うとぎりぎりにしか起きられなかった。食後に飲む薬を何も食べず朝一で飲んで、えいっと起き上がってシャワーを浴びていた。シャワーを浴びている間に少し薬が効いてくる気がした。その間に出勤した。10〜12時間もざわざわした場所にいるのは、今思い返すとぞっとすることだった。先輩の励ましに自分が情けなかったり、笑われているみたいで泣きそうになることもあった。もともと嫌いではなかった雑談も苦手になった。先輩は優しいけれどなんとなく苦手なタイプだった。そんなふうに思うことも申し訳なかった。休職する前の週はとにかく体調が悪かった。時節的に風邪かコロナかと疑った。いっそ重病ならいいのにと思うほどだった。常に熱っぽくて頭かお腹が痛くて、ちょっとしたことで泣きそうだった。いつも日中に飲んでいる薬はいつもより早くなくなった。睡眠薬もそうだった。今もらっている薬は違うが、その前にもらっていた睡眠薬は飲むと少し心地よくなってやる気が出た。本当は大人しく寝ないといけないのだけど、その作用を使って家事をすることもあった。その後ちゃんと寝るためにまた睡眠薬を飲むから当然足りなくなる。毎日帰っても何もできない。食欲だけはあった。寝てもすぐ目が覚める。土日は一瞬で終わる。そういうふうにして、出勤できなくなった。

このなかに悪い人は出てこない。たぶん人手が豊富で定時に帰れるような仕組みを作っていない組織のあり方が間違っているのだろうけど、すぐ何とかなるものでもない。私の心が健やかだったら、同じ勤務内容でも普通にこなしているかもしれないし。きっと、私が復職すれば、休職していた人として配慮されて時短勤務か何かになる。あくまでも特別な事情がある人として、特別に定時に帰れたり、それより前に帰れたりするのだろう。気が重い。将来出世はできないかもしれないが、上司を見ているとしたくもない。キャリアアップなんてどうでもいい。仕事でしたいことなどない。今より健康な心で過ごせるなら、一生昇給しなくてもいい。今の給料で奨学金を返していると結婚や子供は考えにくいけれど、それでもいい。

ネットでは色んな人を見かける。ブラック企業で働いている人や安定収入のない中頑張っている人や将来のために就活している人、無職の人。心を病んだ人。特別な才能で成功している人。 色んな人の話を読むたび、私はたとえ気まずくても、今の職場で復職したほうがいいんだと思う。でも復職の具体的な相談に行くことを考えるだけでも気が重いし、何にも状態が良くなっている気がしなくて、ただ焦る。1ヶ月がこんなにあっという間だったのに、あと2ヶ月しかないと考えてしまう。同じ内容の1ヶ月が続くとは限らないのに。仕事のことを考えると不安になる。