あまり合わなくて、途中まで読んだ感想。しかし、変な言い方だけど、この2012年の小説をちょっと古いなと感じられたのがうれしくもあった。同著者の『あのこは貴族』(2015年)とテーマは似ていても、だいぶ違う。
連作小説集で、上京したあと地方都市に戻って20代後半になり結婚を焦る女性たちが出てくる。地方ではやることないから皆早く結婚してつまらない女になる、と軽蔑しながらも、自由な東京をなつかしむ。それでも都会の自立した「キャリアウーマン」にもなれず、婚活する。2018年に映画化されているように、今も通用するテーマだけれど、実際に読むと少し古さを感じた。人によるかもしれないけれど、地方都市に住む今のアラサー独身女性ってここまで焦ってないし、わりと気ままに生きてるよな、と自分や周りを見て思う。結婚した友達が夫の悪口を言っていたとしてもつまんない女だなと幻滅はしないし、そもそも30代、40代になることへの恐怖をあまり感じていない。
でも、まさにこの小説が出された2012年あたりは、東京でさえまだそういうムードがあった気がする。30歳が近づいた今より、大学3年生ごろの私や周囲の方が、「一年生はぴちぴちだけど私はもうババアだからさ」みたいな自虐心を持っていた。たぶん、そういう自虐さえすれば、私は調子に乗っていない「わきまえた」女性でいられる安心感があったのだと思う。今考えれば21や22の女性が何を言っているのかと笑ってしまう。
今、そうした自虐を聞く機会はめっきり減った。逆に40代ぐらいの女性から年齢についての自虐をされると、そんな予防線を張らなくてもいいのにと悲しくなるほどだ。確実に時代は変わってきていて、自分の心にも大きな影響を与えている。個人差はあるにしても。
私は別にきらきらしたアラサーでもないしワーカーホリックでもないし肌は昔よりよく乾燥する。とくに褒められたもんでもないけど、自ら貶すようなひどい人間でもない。それが心地よくていいなと思っている。